モテ彼×ブキヨウ彼女
〜その頃。神崎side〜
「ぶぇーっくしょん!」
やべ…風邪かな?
豪快なくしゃみをし、サッカーボールを蹴りながら、そんなことを考えていた。
普通に部活をやっているだけなのに、周りには今日もキャーキャー騒ぐ女たちがいる。
今だって、
「キャー、神崎君がくしゃみしたぁ」
なんて声まで聞こえてくる。
そりゃあ、オレだって人間。
くしゃみくらいするっつーの!
はぁー…。
円香に会いてぇ…。
これと言って目立っている所はないのに、
可愛いくて仕方ない、オレの彼女。
おっちょこちょいで、ドジで、不器用で…。
付き合う前から、目が離せなかった。
そんな円香が彼女になって、1ヶ月ちょっと。
オレはまだ、キスさえも出来ないでいる。
…とは言っても、今までに全くチャンスがなかった訳ではない。
初デートの映画でも、その後のデートでも…
きっと、しようと思えばいつでも出来た。
でも…
未だに手を繋ぐだけで、顔を真っ赤にする円香だから…
正直、どうすればいいのか分からないんだ。
…情けねーよなぁ。