モテ彼×ブキヨウ彼女
「大二郎!」
すぐ後ろから聞こえて来た声に振り向いてみれば、
そこには親友の風太が呆れた顔をして立っている。
昔からオレのことを大二郎と呼ぶのはコイツだけ…。
「何だよ、お前さっきからボーッとして。
あ…、もしかして噂のドジな彼女のこと?」
「ドジ言うな!」
風太は、オレが円香に告白する前から、オレの気持ちを知っている。
心の内を見抜く天才。
中学の頃から仲が良いし、同じ部活だし、
信頼できる奴だと思っている…けど…
「お前だいぶハマッてるよなぁ…今の彼女に。
まぁ、モテモテ神崎君が初めて自分から告白した女の子だしね」
「うるせーよ」
どう手を出していいか分からない…なんて言える訳ないよな…。
自分の中のモヤモヤした気持ちと、
未だに騒ぎ続ける耳障りな高い声に…
何だかムシャクシャして来た。
「あー!もーっ!!」
オレは足元にあったボールを、
力一杯に蹴った。
パコーンッ!
「あ……やべ…」