モテ彼×ブキヨウ彼女
「おおおお父さんっ!?
ななな何で!?」
そう。
頭に血が上り興奮していたあたしは、間違えて父親を連れて来てしまったらしい……。
もぉ……
なんであたしってこうなんだろ?
いつも肝心なところでドジを踏んでしまう。
「やだなぁ、円香。
そんなにお父さんと2人っきりになりたかったのか?」
頭を掻き、照れながら勘違い発言をする父親。
そんな父親を勢い良く部屋から追い出し、心配して後を追って来てくれた神崎君を無事に部屋へと迎え入れたのは、
それから約3分後のことだった。
――ようやく2人だけになれた空間で、開いた窓から入り込む風が白いカーテンをパタパタと揺らす。
「はぁ、疲れた」
安堵の息を漏らすあたしの横で、神崎君がお腹を抱えて笑っていた。
まるで……
告白された日の駐輪場の時のように。