モテ彼×ブキヨウ彼女



「……嬉しいよ?」



――優しい瞳に柔らかい表情。

そして、あたしの耳に心地よく響いてくる落ち着いた声……。


それだけであたしの心は温かくなる。



「……っていうか、オレだってそういうこと普通にあるし」


「……え?」


そうなの?という感じで首を傾げると、神崎君は笑った。


「ほら、オレたち学校違うじゃん?

だからオレは円香が学校でどう過ごしてるのか知らない。

電車とか街中とか色々な場所で円香と同じ制服の人見掛けると、すげぇ悔しくなるもん」


「……神崎君……」


‘嬉しい’

今、その気持ちがよく分かった。


――この時思った。


あたし、初めての彼氏が神崎君で良かったって。



だって、こんなに優しい人他にいない。


今日初めて知った恋の味。


これからもっともっと知っていきたい。


神崎君と一緒に――…。






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