モテ彼×ブキヨウ彼女
「ねぇ……そう言えばお母さんたちは?」
あれだけ邪魔をしてきたくせに、今はうるさい声が聞こえないことを不思議に思い、あたしはキョロキョロしながら神崎君に訊ねた。
すると神崎君は「あー」と頭を掻きながら言う。
「最初、かなりの頻度で様子を見に来てたんだけどさ。
オレがついてるから大丈夫って言ったら納得したみたい」
「へぇ……」
珍しい。
少しは反省したのかな……?
そんなことを考えつつも、なんだか顔がにやけてくる。
だって神崎君、自分がついてるって言ってくれてたんだもん。
「神崎君、ありが……」
「っていうか!」
起き上がりながらお礼を言おうとしたら、神崎君があたしの言葉を遮った。
握られたままの手から、お互いの鼓動が伝わる。
「……っていうか
邪魔……だったし」
「……へ?」
あたしがそんな間抜けな声を上げて横を向いた途端……
――チュッ
一瞬だけ重なり合った唇。
不意討ちの……キス――。