モテ彼×ブキヨウ彼女
――どのくらい時間が経ったのかな?
触れ合っていた唇が離れる頃には、あたしの頭はボーッとしていた。
焦点がなかなか定まらないせいで、目の前にいるはずの神崎君がボヤけて見える。
息は乱れ、頬はほんのりと赤く染まっていた。
――こんな長いキス……初めてかも。
何度も何度も角度を変えて、あたしの唇を包むようなキス。
時々漏れる熱い吐息――。
思い出すだけで、身体から湯気が出そうになる。
――どうしよう。
これじゃあ、ますます神崎君の顔が見られない……。
そう思っていたのに、ハッとした瞬間、ばっちり目が合ってしまった。
「あ……えっと……」
咄嗟に目を泳がせるあたし。
神崎君はそんなあたしの姿を見て優しく微笑むと、少しふざけたように言った。
「ちょっと疲れたから……
栄養補給(笑)」