モテ彼×ブキヨウ彼女
――もう。
もうもうもうっ!!
まだ少しだけ肩で息をし、真っ赤になるあたしを見て神崎君は更に続ける。
「補給……しすぎちゃった??」
「……」
もぉぉぉぉぉっ!
「……神崎君のばか」
あたしはそう呟くと、ぐしゃぐしゃにした布団を鼻のあたりまで引っ張りあげた。
なんか神崎君、キャラ変わってない?
でも……
分かってるんだ。
――この‘ばか’は……
‘大好き’って意味。
色々、混乱することはあったけど。
あたし、この何時間かで神崎君のこともっと好きになった気がする。
いつも優しい神崎君のちょっぴり意地悪な一面。
大好き――……。
「さっきまで気を失ってた人間から栄養補給しないでよ」
大好きな人とのキスは嬉しいはずなのに、恥ずかしさのあまり可愛くない発言をしてしまう。
あたしたちは、お互いに顔を見合わせ、しばらくの間笑っていた。