モテ彼×ブキヨウ彼女


――もう。


もうもうもうっ!!


まだ少しだけ肩で息をし、真っ赤になるあたしを見て神崎君は更に続ける。


「補給……しすぎちゃった??」


「……」



もぉぉぉぉぉっ!


「……神崎君のばか」


あたしはそう呟くと、ぐしゃぐしゃにした布団を鼻のあたりまで引っ張りあげた。


なんか神崎君、キャラ変わってない?



でも……
分かってるんだ。



――この‘ばか’は……


‘大好き’って意味。



色々、混乱することはあったけど。


あたし、この何時間かで神崎君のこともっと好きになった気がする。


いつも優しい神崎君のちょっぴり意地悪な一面。


大好き――……。




「さっきまで気を失ってた人間から栄養補給しないでよ」


大好きな人とのキスは嬉しいはずなのに、恥ずかしさのあまり可愛くない発言をしてしまう。


あたしたちは、お互いに顔を見合わせ、しばらくの間笑っていた。






< 91 / 134 >

この作品をシェア

pagetop