モテ彼×ブキヨウ彼女
「円香~。
もしかしてまぁだ落ち込んでるわけ?
神崎君、急用だっていうんだから仕方ないじゃない」
ため息ばかりを繰り返すあたしを見て、凪ちゃんは呆れたように言い放つ。
あたしはあたしで、頬や口の周りに大量のクリームを付けながら食べている凪ちゃんの姿に呆れていた。
仕方ないって……
そんなこと言われなくても分かっている。
神崎君にだって色々付き合いはあるだろうし、部活のミーティングとか、もうすぐある文化祭の関係で会えなくなったのかもしれない。
むしろ今までそういうことがなかったのが不思議なくらいだった。
「でも……寂しいものは寂しいんだもん」
少し膨れながらそう言うあたしに、なぜか凪ちゃんは微笑んだ。
「円香、神崎君と付き合い始めてから色々な表情するようになったよね」
「……へ?」