二世
後から入ってきたギイに促され、佐和子はスカルの向かいに座った。
それを確認して、ギイは運んで来たお茶を順番にテーブルに置く。
目の前に置かれたお茶を那佳と佐和子は黙ったまま見つめていた。
綺麗な水色をしたお茶を、二人は初めて見た。
「これは何のお茶?」
佐和子は傍にいたギイの服の裾を掴み、見上げた。
「オレの国の青い花から作られるお茶になります。」
「青い花…美味しい?」
「えぇ。美味しいものしか出しません。」
にこりと微笑み、ギイはそっと佐和子の手を外した。
佐和子は少し寂しさを感じたが、お茶への興味が強く、気にすることなく流した。
先に口をつけたのは佐和子。
一口飲むと、瞳をキラキラ輝かせ「美味しい」と息を吐く。
それを見ながら、那佳もお茶を口にした。
ふわりと広がった花の香りは嫌みがなく、甘く爽やかに流れていく。
ほっと肩の力が抜け、表情もいくらか和らいだ二人を見て、スカルは口を開いた。
「順を追って話をするつもりだけど、いいかな。」
微笑みながら二人に視線を移し、スカルは続けた。
「確かに、ここは宇宙でこれは宇宙船。誘拐と思われても仕方ない状況かもしれないが、僕は君達に危害を加えるつもりはないよ。だから、あまり緊張しないで。」
「本当に?」
不安そうな佐和子と視線をしっかり合わせてスカルは頷く。
「それじゃあ、あなた達は宇宙人?」
「地球人じゃないのは確かだね。だから、君達からしたら僕らは宇宙人になるかな。」
クスクス笑いながら、スカルはギイに視線を投げた。
つられて那佳や佐和子もギイを見上げる。
「オレを見られても、答えなど持ち合わせていません。」
苦笑するギイに佐和子は疑問をぶつけた。
「ねぇ、あなたは座らないの?」
「いえ、オレは、」
「ギイ、そこに。」
遮るように告げられたスカルの言葉に口を閉じたギイは、「失礼します」と佐和子の隣に腰を下ろした。