二世

まだ言い足りない、といった様子で部屋を出ようとする那佳を、佐和子は扉の前で腕を広げ止めていた。


「落ち着いて!」
「落ち着いてるよ。」
「落ち着いてないからっ!全くもう…何にイライラしてるの?」

不安げに見上げてくる佐和子の瞳に、那佳は少し長く息を吐いた。
その様子に一転して笑顔になった佐和子は、那佳の背を優しく押しながら言った。


「はいっ、深呼吸!すぅー、はぁー…はいっ、もう一回!」


佐和子に促されベッドに座った那佳。
すっかり冷静になった那佳は頭を抱えていた。


「大丈夫‐?」
「…無理。」
「那佳、どうしちゃったの?」
「私にも分からない。イライラして…」

沈んでしまった那佳に、佐和子は安心させるようににっこり笑った。


「那佳は疲れてるだけだよ。色々あったし、昨日もあんまり寝てないんでしょ?」

小さく頷いた那佳に、佐和子はぎゅっと抱き着いて言った。


「大丈夫!明日には、スッキリしてるよ。あたしが保障するっ!」

いつもと変わらない佐和子の温かさに、那佳も小さな身体を抱きしめ返した。


「ありがと…」
「うん!よしよぉし!!」

佐和子の頭を撫でてくる手に笑いながら、那佳は身体の力を抜いた。
すると、まぶたは自然と重くなり、那佳はゆっくり眠りに落ちていった。


「あれ‐?寝ちゃった?」

那佳の寝顔を確認し、クスクス笑いながら、佐和子はベッドに寝かせ布団もきちんとかけてあげた。

そして、ベッドの横で両手を腰にあてた、所謂仁王立ちの状態で佐和子は那佳を見ていた。










 
< 26 / 26 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

Journey

総文字数/8,316

詩・短歌・俳句・川柳51ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop