春―3月28日の約束―
「あっ…」

「ん?どうした?」
「いや…これ…」

「…っ!」

明日香はカッターを見た瞬間、明らかに驚いた様子で数秒かたまっていた。

「…こ、これ明日香の?」

「…。」

「なあ!?」

私はつい、感情的になって立ち上がり、明日香の肩を揺さぶった。

「…った。」

「え?」

「切ったの!」

「…え?」

私と樹音は言葉を失った。

「ばかっ…!」

‘パンッ’

樹音は明日香の頬をビンタした。

その姿を見て私は涙が出てきた。


「…あのね…」

明日香が口を開いた。
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