エンジェリック*エイジ


「…わたしはここに残って、また悠里くんみたいな困ったくんを助けてあげないと」

天野は、そう言った。

悠里の問いに直接答えた訳ではない。でも、その答えで十分だった。


駅に途方に暮れている人が居れば、それを助けるのが天野だ。

未練に縛られた人が居れば、その未練の解消へ導くのが天野だ。



それが、天野の全てだった。



「悠里くん」

天野は、複雑な表情をした悠里を見て笑った。

「わたしの方こそ、ありがとう。すごく楽しませてもらった。悠里くんと過ごせて、本当に良かった」

2時間も粘った人にはそうそうお目にかかれないからね、と苦笑する。


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