エンジェリック*エイジ


「…わたしは天野。あなたは?」

悠里が落ち着くと、少女――天野は再び悠里の隣に腰掛けた。

悠里は鼻を啜りながら口を開く。

「……藤沢悠里」

「そう……じゃあ、悠里くん」

天野はにっこりと微笑むと、悠里に白くて小さな紙切れを手渡した。

「…これは?」

紙切れを受け取ると、悠里はまじまじとそれを眺めた。
うっすらと文字が書かれているように見えるが、薄すぎて読み取れない。

「それは、『天国の切符』だよ」

天野はそう言って、ポケットからもう一枚同じ紙切れを取り出した。

その紙切れには文字がしっかりと印刷されている。

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