エンジェリック*エイジ
深刻な表情で天野は頷く。
「この『天国の切符』がないと、わたしたちは列車に乗ることができないんだけど、完全じゃない切符は『天国の切符』と認められない」
「…ってことは、まだ俺は天国には行けない?」
「そういうこと」
悠里は息をついた。
さっき来た列車に乗ろうとしなくて正解だった。
乗ろうとしても、車掌に引っ張り出されていただろう。
「切符が完全じゃないってことは、現世に“未練”があるっていうこと」
天野が続けてそんなことを言った。
「……未練?」
「そう。“未練”は人を現世に縛り付ける。…悠里くん、現世に“未練”を残して来たんじゃないかな」