エンジェリック*エイジ


深刻な表情で天野は頷く。

「この『天国の切符』がないと、わたしたちは列車に乗ることができないんだけど、完全じゃない切符は『天国の切符』と認められない」

「…ってことは、まだ俺は天国には行けない?」

「そういうこと」

悠里は息をついた。
さっき来た列車に乗ろうとしなくて正解だった。
乗ろうとしても、車掌に引っ張り出されていただろう。

「切符が完全じゃないってことは、現世に“未練”があるっていうこと」

天野が続けてそんなことを言った。

「……未練?」

「そう。“未練”は人を現世に縛り付ける。…悠里くん、現世に“未練”を残して来たんじゃないかな」

< 18 / 111 >

この作品をシェア

pagetop