エンジェリック*エイジ


「俺の……未練」

悠里は、切符を見つめながら考えた。


部活で大会に出る前に死んでしまったから?

今日の夕食は好物のハンバーグだったのに、それを食べられなかったからだろうか?

それとも、好きな漫画の続きを読めなくなったから……?


悶々と悩むも、これだと確信を持って言える“未練”に辿り着かない。

天野はそんな悠里に笑いかけた。

「確固たる“未練”があるなら、普通切符は目に見えないものなの。悠里くんの切符は文字が薄いだけで原形はちゃんとあるから……“未練”っていっても、ちょっと気になってる程度のことだと思う」

「……ちょっと気になってること……」

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