エンジェリック*エイジ
Ⅱ 夏の残像
悠里と天野を囲む草原と白い駅の風景が、ゆらゆらと揺れながら滲んで消えていく。
それと同時に、別の風景が現れ始めた。
青空。太陽。一面の水色。
制服を来た生徒。
はしゃぎ声。
そして、水しぶきの音。
「――おら、くらえ!」
そんな声が聞こえたと思うと突然、悠里の顔面に思いっきり水がかかってきた。
「ぅわっ」
悠里は反射的に顔を背けて目をつぶる。
顔を拭こうとしたが、なぜか肌には濡れた感覚がなかった。
「あっれ……」
今、確かに水がかかったはずなのに。
不思議に思って目を開くと、悠里の目の前で見知った顔が可笑しそうに笑っていた。
――文弥だ。