エンジェリック*エイジ


悠里は納得して、目の前の懐かしい光景を見た。

……これは確か、中3の夏休みのときの。

水泳部が遠征に行っている隙を狙って、学校のプールに忍び込んで好き勝手に遊びほうけた日の記憶だ。

悠里と文弥は制服のままプールに飛び込んで泳ぎまくり、それを絢音がプールサイドから笑って眺めていた。

「なー、絢音は泳がねぇの?」

文弥がプールサイドに近寄ると、絢音は笑って首を横に振った。

「あたし、スカートだもん。あと万が一見つかっても、濡れてなかったら怒られないし」

「うっわ、卑怯なやつ!」

文弥は声を上げると、絢音に向かって容赦なく水鉄砲を発射した。

「わ、ちょっと何すんの!」

攻撃をくらった絢音も、負けじと文弥に水をかけ返す。

< 28 / 111 >

この作品をシェア

pagetop