エンジェリック*エイジ
「……ごめん、絢音」
文弥は絢音の問いには答えず、ただ謝った。
絢音は文弥の裾を握ったまま、静かに泣いた。
声を上げず、呼吸を乱さず。
ひたすら静かに、泣いていた。
悠里は身動きせずに絢音の涙を見ていたが、ふと何かを思い立ったように教室から出た。
「……悠里くん?」
悠里の隣で黙って立っていた天野も、悠里の後に続く。
廊下に出て一点を見つめる悠里の横に並び、天野もその方向を見た。
「……あ……」
悠里、だった。
部活動着に身を包んだ悠里が、教室の前の扉にもたれて座り込んでいる。
頭を抱えるその姿は、後悔そのものだった。