エンジェリック*エイジ


絢音の後に続いて、外に出る。

さっきは気がつかなかったが、今夜は満月だった。雲がかかっていないので、星もいくつか見える。


「……悠里、ありがとね」

歩きながら、絢音はふいにそう言った。

「悠里が来てくれなかったら、あたしこのまま諦めてた」

悠里は笑う。

「諦められちゃ、こっちも困るんで。……もう俺を言い訳にするなよ。絢音と文弥のことなんだから」

絢音は深く頷いた。
その目に、もう迷いはない。

「本当にありがとう。悠里、大好きだよ」

「それは文弥さんに言ってやって」

格好つけたつもりだったが、顔が赤くなっていたらしい。

照れてやんの、と天野が悠里を冷やかした。

< 85 / 111 >

この作品をシェア

pagetop