エンジェリック*エイジ


「……どうして」

悠里は、もう片方の切符を握る手に力を入れた。


……聞かなくたって、本当は薄々気づいていた。


天野は、途方に暮れる悠里の前に突然現れた。

悠里の死因をなぜか知っていたし、この駅のシステムにも詳しかった。

そして、悠里に未練があることを教え、その未練解消のために不思議なリモコンで映像を映し出した。


……そんなこと、普通の人間には到底できない。

わかっている。

でも、わかりたくない。

どうしても聞かずにはいられなかった。


「……あんた、何者なんだよ」


悠里が見据えると、天野は変わらず優しく微笑む。

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