ちっぽけな幸せを君に
 「え、あ、うん……サンキュー」


 「じゃあ私は失礼します――」


 女の子は風にスカートをなびかせて校舎に向かって歩いて行く。その姿はまるでドラマのワンシーンのようで、俺は一瞬目を奪われた。


 「んー……なかなかのもんだ」


 独りで感想を呟く俺の遥か上空を白い雲が流れていた。


 それが流歌(ルカ)との初対面だった。


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