ちっぽけな幸せを君に
 学校につき校舎に入ると階段を二段飛ばしで駆け登り、屋上へ出る扉を勢いよく開けた。



 「流歌!!!」



 流歌は俺に背を向けて謳っていた。あのいつかの雨の日のように……



 「流歌――」



 近付こうと一歩足を踏み出した俺に流歌が言った。



 「来ないで……そこで聴いてて――」


 俺はそこで立ち止まり、流歌の言葉に従った。


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