ちっぽけな幸せを君に
 二年目の会社の忘年会での事。


 結構大手の会社である俺の仕事場は部署ごとに忘年会をする。それでも人数は40人を軽く越えるので、仕事で直接関わる人間以外は殆ど会話を交わした事がない。


 「今度みんなで母校巡りしてみない?」


 そう言い出したのは同期で経理をしている松長 早苗(マツナガサナエ)だった。


 かけているピンクフレームの眼鏡が流歌と重なる――


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