ちっぽけな幸せを君に
 「やっぱり学生時代の時任先輩も人気者だったんですか?」


 やっぱり?


 薺の言葉に俺は心の中でだけ疑問を投げ掛けた。


 「……意外といじめられてたりして」


 冗談に聞こえない冗談で唯が応える。まああながち間違いでもないか――


 俺の学生時代の空想を好き勝手にしながら車内は盛り上がる。


 「そういえばかずきは高校の時彼女とか居なかったのか?」


 啓太の言葉に何故かみんなの視線は俺に集中して、車内に沈黙――いや静寂が訪れる。


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