ちっぽけな幸せを君に
 少し厚めの紙には何も『書かれて』なく、代わりに小さな凸が並んでいる。


 「これは……点字――?」


 歌菜と会った時の事が頭の中でフラッシュバックする。




 『その声――もしかして時任先輩じゃないですか?』



 その声――


 確かに歌菜はそう言った。普通ならば『その声』なんて不自然な言い方はしない。


 「歌菜ちゃん――もしかして目が……」


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