ちっぽけな幸せを君に
 「あっ、はい。見えないんです」


 よく見れば、確かに俺の方に顔を向けてはいるが焦点が合っていない。


 「そうだったのか……ごめん。ここに来るの大変だったろ?俺気付かなくて――」


 「あ、謝らないで下さい!大丈夫です、ここにはよく来るから慣れてますし」


 「そっか、ならいいんだけど……」


 歌菜は、大丈夫です。と言って言葉を繋いだ。


 「じゃあ謳いますね?」


 「うん、お願いします」

 俺の言葉に頷いてから歌菜は謳い始めた。


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