ちっぽけな幸せを君に
 パチパチパチ


 「ありがとう……凄く上手かったよ――」


 拍手しながらそう言った俺の頬を涙が流れていった。


 「あ……あれ?」


 「時任先輩?」


 歌菜は手探りしながらゆっくりと俺の側まで来ると、その小さく白い手で俺の頬にそっと触れた。


 「……私は哀しい時は泣けばいいと思います。嬉しければ喜べばいいし、楽しければ笑えばいい。腹が立てば怒る、それが自然な事です」


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