ちっぽけな幸せを君に
 佳奈はそう言ってから俺に頭を下げて、来た方向へと走り去っていった。


 「同じ名前なんだな?」


 佳奈の走り去って行く背中を見ながら俺は言った。


 「うん!1番の仲良しなの。入学式の時に迷子になった私を助けてくれたのが佳奈だったんだ」


 本当に嬉しそうに歌菜は話す。光の無い世界がどんなものか……俺には想像もつかない。そんな世界に身を置いている歌菜が笑顔でいられるのは奇跡に近い事だろう。


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