ちっぽけな幸せを君に
 バックでの駐車に手間取っている『お姉ちゃん』はまだ俺達に気付いていない。


 『お姉ちゃん』との距離と反比例して鼓動がどんどん速くなるのが自分でもわかった。


 車まで後少しとゆうところで歌菜が立ち止まり俺を見つめる。


 歌菜の瞳に俺が映りこむ。


 「かずきさん……お姉ちゃんを好きになっちゃだめだからね?」


 「いや、有り得ないから――」


 歌菜は俺の言葉を確かめかのように、俺の胸に耳を当てた。


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