ちっぽけな幸せを君に
 頷く歌菜にキスをして、俺は家を飛び出した。車を運転しながら綾香に電話をして迎えに来てもらうように頼む。


 「しょうがないわね」


 綾香に謝ってから電話を切る。


 会社に着いたのは遅刻ぎりぎりで、上司に厭味を言われるだけで済んだ。


 「珍しいな?かずきがぎりぎりで来るなんて」


 隣のデスクの啓太が小声で話しかけてくる。俺は曖昧に返事を返して、仕事に取り掛かった。


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