ちっぽけな幸せを君に
 一時間程たった頃、トイレに立った俺は、携帯の着信を知らせるランプが点滅しているのに気がつき、携帯を開いた。


 『不在着信12件 椚 綾香』


 5分置きの着信は全て綾香の名前だった。俺はすぐにリダイヤルをして綾香に電話をかける。


 「悪い、仕事してて気付かな……」


 「歌菜が!歌菜がどこにもいないの!」


 「え?家に居ただろ?」


 「だから居なかったのよ!かずきから電話貰ってすぐに出たのに……着いた時にはもう居なかったの!」


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