ちっぽけな幸せを君に
 綾香の声は明らかに冗談などではない事を物語っていた。


 「携帯は!?」


 「だめ、何度電話しても圏外で……電源切ってるみたい――」


 俺は綾香にすぐかけ直すと伝えてから一度電話を切り、駐車場へ向かいながら歌菜の携帯へかけてみる。


 『おかけになった番号は電波の届かない所に……』


 音声ガイダンスを途中で終わらせ、再び綾香に電話をかける。


< 206 / 276 >

この作品をシェア

pagetop