ちっぽけな幸せを君に
 「私には流歌さんの代わりにすらなれない……」


 「歌菜!聞いてくれ!違うんだ!」


 「私はかずきさんにとって、流歌さんを映すブラウン管でしかなかった……」


 「……?」


 綾香が俺の袖を引っ張り、振り向いた俺に歌菜の足元を指差す。


 「私の中に、流歌さんを……見る、ならよかった――でもかずきさんは……私を透して流歌さんを見てただけだったんですね」


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