ちっぽけな幸せを君に
 「私……かずきさんが話してくれるの待ってた、昔の事や流歌さんの事。それとなく聞いたりもした……それでもかずきさんは話してくれなかった――」


 歌菜の上には青空が広がるだけで、雫が滴るような場所はない。


 「一生懸命私を見て貰おうとした……でも、もう疲れちゃいました。だから――」


 歌菜はそこで振り向いて俺の方を見ながら言った。


 「考えたんです、どうすればかずきさんに私を見て貰えるか――」


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