ちっぽけな幸せを君に
 歌菜の顔はすでに蒼白になっていて、俺がネクタイを結び終わると同時にその場に崩れた。


 「かずきさん……ごめんなさい――」


 「いいから黙ってろ!」


 「私……流歌さんの事ずっと前から知ってたんです――」


 歌菜はその言葉を最後に気を失った。


 「歌菜?おいっ!歌菜っ!!」


 遠くから救急車のサイレンが聞こえてくる。



 歌菜の左手に付けられた銀のリングは、そのほとんどを赤い血で染められ、輝きを失っていた――


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