ちっぽけな幸せを君に
 俺は冗談だろうと聞き流そうとしたが、男の次の言葉でその考えは否定された。


 「つっても名義は親父やねんけどな」


 男はそう言いながらも部屋の中をうろうろして何かを捜している。


 「あの……」


 「お!あったあった。悪いなぁ、救急箱なんか滅多に使わんからどこにあるかわからんかって……」


 「あ、すいません……」


 「かまへんよ、それとその敬語もいらんわ、タメやしな」


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