ちっぽけな幸せを君に
 「悪いようにはせんから騙されたと思って一回だけでもやってみんか?嫌やったらすぐにやめてもかまへんから」


 いつの間にか原田の顔は真剣そのもので、出会った時の軽そうな印象は面影すらなかった。


 その表情は俺に選択肢を与えず、仕方なく俺は頷いた。



 一回してやめればいいか――



 その程度の考えだった。


 「よしゃ!じゃあとりあえずその顔の晴が引くまでは無理やから……一週間ぐらいやな」


 
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