ちっぽけな幸せを君に
 『美雪、21歳。趣味 歌う事。初回』


 歌う事――か……


 「とりあえず初めやし自分の思うようにしてみたらええ、俺から言う事は一つ。接客をするんやない、彼氏になるんや」


 「はい」


 「よし、ほんなら今日から同僚や。部屋はここの隣が空いてるからそこ使ったらええわ」


 原田は鞄のサイドポケットから鍵を取り出して俺に渡した。


 「生活に必要なもんは大体そろっとるから」


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