ちっぽけな幸せを君に
 「そうやってまた逃げるの?」


 会社を辞めて街を出る事を伝えた時、綾香が言った。


 「歌菜と付き合えとは言わない、でもここで逃げ出しても何も変わらないのよ?」


 「俺はきっと……俺の中で流歌の事に終わりを見なきゃ周りを傷付け続ける。だから――」


 「どうして……どうしてかずきはもっと自分の事を考えないの!?歌菜の事も霞さんの事も、かずきが悪いわけじゃない!何もかも自分で背負って逃げ続けるつもり?」


 
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