ちっぽけな幸せを君に
 意味ありげに俺に視線を固定したまま、少し間を置いてから原田は続ける。


 「自分は人を傷付けてしまうから一人でいてる。そういえば聞こえはええけど、それは結局『人を傷付けてしまってその事で自分が傷つくのが怖い』だけやと思うんや」


 「何が……言いたいんですか?」


 俺は原田の視線を真っ正面で受け止めながら言った。


 「べつに、ただ……一人でいるから誰も傷付けてないって事にはならへんっちゅう事や」


 
< 245 / 276 >

この作品をシェア

pagetop