ちっぽけな幸せを君に
 「久しぶりだね、歌菜……」


 「か……ずき――さん?」


 「ああ……」


 歌菜は逃げるように体を反転させて階段を昇ろうとする。


 「歌菜、ちょっとだけでいいから話しを聞いてくれないか?」


 俺が言うと歌菜は考えるように一瞬止まり、再び体を反転させて居間に入り座った。


 「元気だったか?」


 「うん……」


 歌菜は俯いたまま答える。


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