ちっぽけな幸せを君に
 「傷付けるだけ傷付けて……結局我が身可愛さに逃げだして――」


 歌菜はその瞳に俺の姿を逆さまに映して見つめている。


 「もう、やめにしたんだ――傷付けて、傷付くだけのイタチごっこは……」


 俺は一旦綾香に目をやり、すぐに歌菜に視線を戻して言った。


 「俺はもう迷わない――流歌が……流歌を愛してるから、そこにどんな現実があろうと流歌を見つけ出す!」


 「かずきさん……」


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