ちっぽけな幸せを君に
 「だから……ごめんな歌菜――」


 「かずきさん……一つだけ約束して下さい――」


 その何も映し出してはいないはずの双眸は、強い意志の光りを宿して俺に向けられていた。


 「必ず――必ず流歌さんを見つけだして幸せにしてください……」


 「ああ……約束する――」


 「それと……」


 歌菜はそう言って手を伸ばすと俺の頬に触れながらにっこりと笑った。


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