ちっぽけな幸せを君に
 中学卒業間近の雪の降る寒い日。


 家に帰るとあいつが母を殴っていた。


 かばんを玄関に放り投げた俺は、父親を殴り倒して母さんに声をかけた。


 「母さん!大丈夫?」

 「大丈夫、大丈夫よ……」


 笑顔を作りながら言う母の顔は、口角から血が流れ目尻は青紫色に変色して腫れていた――


 
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