ちっぽけな幸せを君に
 二つ目――


 日曜日の昼下がり。夕飯の買い物に出掛けた流歌が中々帰らず、心配になった俺は電話をした。


 「流歌?」


 「かずき……」


 声の調子がいつもの違うのが明らかだった。


 「どうした!?何かあったのか!?」


 「帰れないよー……」


 「は?」


 流歌は泣きそうな声で言った。


 「道がわからないの……」


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