ちっぽけな幸せを君に
 代わりに冷ややかな目、あるいは畏怖の眼差しの雨霰。


 その眼差しから逃げ出してこの街に来たのに結局はまた同じ……


 「かずき、もう逃げるのはやめにしよう?」


 流歌がそう言ったのは夏休み初日の話し。


 近所である花火大会にどうしても流歌が行きたいと言い、珍しく二人で出掛けている時だった。


 「私も眼鏡かけるのやめるから、ね?」


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