ちっぽけな幸せを君に
 その日の夜、眠りにつこうと二人でベットに入り電気を消した後、俺は決心して流歌に話し掛けた。


 「なあ流歌……続き――聞かせてくれないか?」


 「ん……続き?」


 顔まで布団を被っていた流歌はもぞもぞと頭を出して問い返す。


 「流歌が死のうとした日、学校から帰ったら……」


 そう――


 あの雨の日、俺は流歌の現実から目を背けたまま逃げ続けていた。


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