ちっぽけな幸せを君に
 「……うん」


 流歌は俺の胸に上半身を預けてゆっくりと話し始めた。


 「学校から帰ると仕事に行っているはずの義父がいて、家に入ると同時に玄関で私は押し倒された……」


 小刻みに奮えだした流歌の体に俺は手を回して強く抱きしめた。


 「その頃には私はもう抵抗をする事をやめていて、義父のされるがままになってたの。抵抗しても殴られるだけだったから――」



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