ちっぽけな幸せを君に
 「ちょうどその時母が帰って来たの。慌てる義父を余所に母は一瞬だけ動揺を見せた後、何もた言わず私の手を取ると引っ張る様にして家を出たわ」


 そこで流歌は話しを切って違う事を口にした。


 「かずき――私、汚いかな?」


 流歌は俺のお腹の辺りにまたがり、肩からかかっていた布団をスルリと後ろへ落とした。


 一絲纏わぬ姿の流歌の躯に窓からの月明かりが射し、その躯を青白く浮かび上がらせる。


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