ちっぽけな幸せを君に
 「残念ながらアウトですね……」


 門を閉めていた女の子が、ピンク色のフレームの眼鏡を指先で持ち上げながら俺に冷静に告げた。


 「えっ!?なんで?滑り込みセーフでしょ!?」


 「予鈴がなった時には着席している事、それがボーダーラインですからあなたは遅刻ですよ。学年とクラス、後、名前を教えてください」


 極めて事務的に言いながら女の子はノートとシャーペンを取り出す。


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